1921年 (大正10年)
内閣 | 原内閣 – 高橋内閣 |
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軍部 | 陸軍大臣:田中義一 – 山梨半造 参謀総長:上原勇作 海軍大臣:加藤友三郎 軍令部長:山下源太郎 |
宮中 | 内大臣:松方正義 宮内大臣:中村雄次郎 – 牧野伸顕 侍従長:正親町実正 枢密院議長:山県有朋 |
貨幣価値 | 1円=521円 |
国家予算 | 歳入 2,065,711 / 歳出 1,489,856 / 軍事費 841,875(予算比率52.7%)※ 単位は1000円 |
1月2日 | 大阪朝日新聞が日本初のグラビア印刷の写真付録「朝日グラフィック」を発行 |
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1月2日 | チェコでカレル・チャペックの戯曲「R.U.R」初演。人造人間を「ロボット」という新語で表現 |
1月3日 | 幣原喜重郎駐米大使が米カルフォルニア州の排日土地法に関し、米政府に抗議 |
1月6日 | 長野県南条村小学校の火災で、校長が御真影を救い出そうとして焼死 |
1月6日 | 独ベルリンの子供48万人のうち、10万人が病気を患い、12万人が栄養失調であると判明 |
1月7日 | 東京の力士会が、ふんどしの一重廻しが胸の辺りまで伸びた場合に、ふんどしを締め直すことを決定。従来はふんどしが解けた場合のみ締め直し |
1月7日 | 東京の電車使用一位が待合の「金田中」であることが判明 |
1月8日 | 露ウラジオストックで日本軍の哨兵が米大尉を誤射。哨兵処罰で解決 |
1月9日 | 岩崎家が深川の清澄白河庭園を解放 |
1月11日 | 皇居に火災報知器が設置される |
1月12日 | 田中義一陸相が社団法人競馬協会の設立を許可。理事長に安田伊左衛門就任 |
1月12日 | 東京・足立機械製作所争議で会社側が工場閉鎖・全員解雇の処分。組合側が激怒し、機械を破壊 |
1月13日 | 文部省が職業学校規定を制定。職業学校が制度化され、手芸、写真、簿記等の職業学校が誕生 |
1月13日 | 伊集院五郎没。海軍元帥。魚雷信管を発明。日露戦争で大戦果を挙げる |
1月15日 | 三菱神戸造船所の電気機械部門が独立し、三菱電機を設立 |
1月16日 | 松方正義内府が皇太子洋行を奏上し、裁可を得る |
1月17日 | 糸居五郎生誕。ラジオDJ。ニッポン放送開局第一声を務める。深夜番組「オールナイトニッポン」で活躍。ラジオDJの草分け的存在 |
1月20日 | トルコ・アンカラ国民議会がケマル・パシャを議長に選出。主権在民、男子普通選挙による議会・大統領制の臨時憲法を採択 |
1月21日 | 米ニューヨークでチャールズ・チャップリンの「キッド」公開。「皆さんはこの映画を笑いと、そしておそらく一粒の涙とともに見るでしょう」という字幕から始まる。ドタバタが主流の喜劇から、人間の悲喜劇を織り交ぜたドラマ映画で、チャップリンの自伝的要素も含んでいた |
1月22日 | 静岡県清水で初の漁業用無線通信が行われる |
1月24日 | 山県有朋の不忠の行為を訴える匿名の怪文書が、原首相や貴族院の議員らに送られる。宮中某重大事件が明るみに。内務省は皇太子妃問題の一切の報道を禁止 |
1月24日 | 加藤高明憲政会総裁が貴族院においてシベリア撤兵を主張 |
1月25日 | 中橋徳五郎文相が専門学校を大学に昇格させると明言しながら、財政上の問題により前言を撤回。大学昇格中止を巡る二枚舌事件が議会で紛糾 |
1月27日 | 大阪・岡田興業の跡目を吉本興業が引き継ぎ。反発する芸人がスト |
1月31日 | 衆議院にて早速整爾憲政会代議士が満鉄の炭鉱・汽船買収問題を追及。不当に高い価格で購入しており、その差額が政友会の政治資金に流れているのではないかと指摘。議場騒然 |
1月某日 | 志賀直哉が改造にて「暗夜行路」の連載を開始。不義の子が、社会の荒波に打ちのめされ、伯耆大山の自然の中で再起を図るという内容 |
1月某日 | 人気落語家、桂春団治が吉本興業専属に。吉本が桂の借金を肩代わりした上で、月給700円の破格の待遇で迎える |
1月某日 | 東京の魚河岸で初めて冷凍魚が発売される |
2月1日 | 牧野省三監督、尾上松之助主演の忍術映画「豪傑児雷也」封切り |
2月1日 | 東京朝日新聞が夕刊を復活 |
2月2日 | 文部省が第一回推薦映画として「ヘレン・ケラー」「お化けトランク」等を発表 |
2月2日 | ドイツで戦争賠償協定に対する抗議デモが発生 |
2月3日 | 憲政会・国民党提出の普選法案が衆議院で否決される |
2月3日 | 賀川豊彦らが大阪で借家人大会を開催。賃貸住宅増加の中で家賃を巡るトラブル続発を受け |
2月4日 | 憲政会が普選強硬派の尾崎行雄を除名処分 |
2月4日 | 橋口五葉没。洋画家。吾輩は猫であるの荘丁を担当。美人版画で著名 |
2月5日 | 帝大法学部弁論部が軍備縮小討論会を開催。軍縮に疑義を持つ法学部教授たちに対し尾崎行雄が軍縮論を振るい、学生たちから万雷の拍手 |
2月6日 | 東京・芝増上寺で僧侶の被選挙権獲得要求大会開催 |
2月8日 | ピョートル・クロポトキン没。露アナーキススト。ロシア農村の悲惨な現実に直面し、革命運動に身を投じる。日本の無政府主義にも影響を与える |
2月9日 | 中村雄次郎宮相が世論紛糾を受け、色覚障害遺伝子問題の撤回を山県有朋に進言 |
2月9日 | 村田経芳没。陸軍少将。日本初の国産銃・村田銃を発明。主力小銃の統一化に成功し、日清戦争に多大な功績をあげる |
2月10日 | 宮内省が皇太子の婚約に変更はないと声明を発表。中村宮相が宮中某重大事件の責任を取って辞職 |
2月10日 | 尾崎行雄が単独で衆議院に軍縮に関する決議案を上程。大差で否決される |
2月11日 | エドワード・G・サイデンステッカー生誕。日本文学研究家。谷崎潤一郎や川端康成の作品や「源氏物語」を英訳。「雪国」の英訳にも携わり、川端のノーベル文学賞受賞に貢献 |
2月12日 | 不敬罪・新聞法違反で大本教教祖・出口王仁三郎以下幹部が一斉検挙。大本教に大打撃 |
2月12日 | ウィストン・チャーチルが英植民相に就任 |
2月15日 | 「種蒔く人」創刊。プロレタリア文学の先駆け |
2月16日 | ウクライナのバイオリニスト、ミッシャ・エルマンが来日。帝劇で演奏し、山田耕筰が理想的と絶賛 |
2月16日 | 朝鮮人参政権獲得運動家の閔元植が刺殺される。犯人は朝鮮人参政が独立の妨げになると考えた朝鮮人の青年 |
2月18日 | 松方内府が内大臣職の辞表を提出。宮中某重大事件を久邇宮家に謝罪 |
2月19日 | 牧野伸顕が宮内大臣に就任 |
2月19日 | 衆議院にて内閣不信任案が否決される |
2月19日 | フランスとポーランドが同盟を締結 |
2月20日 | 原敬首相が遺言状を作成。死後の位階勲等、授爵を絶対辞退すること。葬儀は盛岡で行うが、儀仗兵などは辞する。墓標には位階勲等を記さずに、原敬の墓とすること等 |
2月21日 | イランで、コサック軍人のレザー・ハーンが無血クーデター。テヘランの政治家たちを逮捕し、軍事独裁制導入を発表。パフラヴィー朝創設 |
2月21日 | 露モスクワでボリシェヴィキに反発する労働者の暴動勃発。街には食糧がなく、工場には資材もなく、ボリシェヴィキに対する不満蓄積 |
2月23日 | 露クロンシュタット軍港で水兵の反乱勃発。社会主義政党の合法化や商業の自由を主張 |
2月24日 | 橋口五葉没。画家。三越の美人画コンテストで一等を受賞。美人画にアール・ヌーヴォーを組み入れ「大正の歌麿」と称される |
2月26日 | 米レスラー、アド・サンテル来日。講道館柔道に挑戦状を叩きつける。嘉納治五郎は興行に利用されることを懸念し、断固反対。対戦した門下生を破門にする強硬姿勢を見せる |
2月26日 | 衆議院が治安警察法改正案を可決し、女性の政談参加を認める。後に貴族院で否決 |
2月26日 | ソヴィエトがイランと友好条約締結 |
2月27日 | 伊フィレンツェでファシストと共産党が衝突。全国に騒動波及 |
2月28日 | ソヴィエトがアフガニスタンと友好条約締結 |
2月某日 | 早稲田高等学院の中西敬二郎が馴染みのカフェでカツレツを切って丼に盛るカツ丼を開発。数ヶ月後には銀座の食堂に現れるほど流行 |
3月1日 | 東京中央電話局が、14歳未満の女子電話交換手の夜勤を廃止 |
3月1日 | ドイツが連合国の戦争賠償案を拒否 |
3月3日 | 皇太子裕仁が横浜港からお召艦「香取」で欧州に出発 |
3月3日 | 北海道阿寒湖のマリモが天然記念物に指定される |
3月3日 | ルーマニア、ポーランド、ハンガリーが対ロシア防衛条約を締結 |
3月4日 | 東京・小塚原刑場跡地で解剖150年祭開催 |
3月5日 | 東京靖国神社相撲場でアド・サンテルと講道館道場の庄司彦男、清水一らが対戦。2日間ともに引き分けに持ち込むも、サンテルが終始優勢 |
3月6日 | 皇太子裕仁が沖縄到着。その後二度と訪れることは出来ず、後に「最大の心残り」と語る |
3月8日 | 連合国がルール地方を占領。賠償支払いに応じないドイツに報復 |
3月8日 | ロシア共産党大会にてウラジミール・レーニンが新経済政策、ネップを発表。経済の破綻を受け、資本主義的経済政策を導入 |
3月10日 | 伊藤忠商店と伊藤長兵衛商店が合併し、丸紅商店設立。総合商社大手 |
3月11日 | 貴族院に中橋文相問責決議案が提出される。原首相は「一蓮托生」と述べて中橋文相の更迭を否定。決議案は否決される |
3月12日 | カイロ会議開催。英国のイラク・トランスヨルダン・ペルシャ湾の支配についての会議。チャーチル植民相の他、トーマス・エドワード・ロレンス、ガートルード・ベル、ハーバート・サミュエルなど中東通が列席 |
3月13日 | 輸出食品、日魯漁業、勘察加漁業が合併し日魯漁業設立。会長に堤清六就任 |
3月14日 | 兵藤精が初の女性飛行家としてデビュー。後にNHKドラマのモデルの一人となる |
3月15日 | 加藤憲政会総裁が船成金・内田信也から5万円もの政治資金を受けていたことが判明。領収書内に「珍品五個領収致し候」と書かれていることから、珍品五個事件として騒然に |
3月15日 | 銀座大通り改装工事の中で、柳がイチョウに植え替えられる |
3月16日 | ソヴィエトがトルコ・アンカラ政府と修交条約を調印 |
3月16日 | 英露通商条約調印。英国がソヴィエトを承認 |
3月18日 | 岩波書店が西田幾太郎の「善の研究」を復刊。1911年刊行後、三版で絶版となっていた |
3月18日 | ソヴィエト赤軍がクロンシュタットを総攻撃。水兵の反乱が鎮圧される |
3月18日 | ソヴィエトとポーランドがリガ平和条約を調印 |
3月19日 | 加藤高明が潔白を証明する為に内田との書簡を公表するも、普選派の尾崎・島田排斥に言及していた事が判明。島田三郎が激怒し、脱党 |
3月20日 | 大倉山公園で神戸開港50年の祝賀会開催 |
3月21日 | 山県有朋が枢密院議長と元老の辞退を申し出る |
3月21日 | 独共産党がハンブルクで武装蜂起。失敗に終わる |
3月22日 | 東京市の午後を知らせる午砲ドンが不発。1871年以来初めての出来事 |
3月23日 | 岩波書店が倉田百三の「愛と認識との出発」を刊行し、大ベストセラーに。本書内に「善の研究」に関する一項があり、復刊した「善の研究」の売れ行きが急増 |
3月24日 | 山岡発動機(現ヤンマー)が農業用石油発動機を発売。農業の機械化の始まり |
3月24日 | モナコ・モンテカルロで第一回女子オリンピック開催。オリンピック競技に女子陸上を入れないIOCに抗議して開催された |
3月25日 | 三井物産造船部が9時間労働制を採用 |
3月25日 | ソヴィエトが米国に対し通商関係再開を要求。米国が共産党政権である限りは不可と拒絶 |
3月27日 | 早大野球部が米国遠征に出発 |
3月28日 | シベリア派遣軍の高柳保太郎少将が、恩賜のタバコを芸者に与えたのが不敬だとして罷免される |
3月某日 | 東京市が市営の蕎麦屋、銭湯を開業 |
3月某日 | 米カンザス州で米国発のハンバーガースタンドが開店 |
軍縮・普選論を振るう尾崎行雄
皇太子裕仁と英国王ジョージ5世
4月1日 | 東海道線丹那トンネル工事現場で崩落事故。33人が生き埋めになる |
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4月1日 | 英国が軍需省を廃止 |
4月4日 | 米穀法公布。米穀の需要調整を制度化 |
4月5日 | 皇太子裕仁一行が地中海マルタ島に寄港 |
4月5日 | 政府が海底電線陸揚地として、委任統治領ヤップ島の米国の権利を承認 |
4月8日 | 東海道線丹那トンネル工事現場の崩落現場から17人を救出。助かった技師が、空腹のあまり草鞋に噛り付いたと日記に記しており、話題騒然 |
4月8日 | 借地法・借家法公布。都市の人口増加に伴う借地・借家トラブルから、借地・借家権の安定を図る |
4月9日 | 航空法公布 |
4月10日 | 大阪電気鉄道、西大寺ー郡山間開業 |
4月11日 | 黄燐マッチ製造禁止法公布 |
4月11日 | 足尾銅山で大規模スト発生。会社が労働者の団結権を承認して解決 |
4月12日 | 郡制廃止法公布。郡役所が国の行政官庁となる |
4月12日 | 法隆寺で聖徳太子1300遠忌法会挙行 |
4月12日 | 神戸購買組合(現コープこうべ)創立。賀川豊彦の助言により、地域に根ざした購買組合が誕生。消費者第一主義を掲げ、産地から直接大量に買い付け、悪質な商人の中間手数料を廃する事で、低い販売価格を実現。生活協同組合運動の基盤を作る |
4月15日 | 羽仁もと子が東京目白に自由学園を開校。フランク・ロイド・ライト校舎を設計 |
4月15日 | 英国の労働者スト呼びかけに対し、政府が武力介入を示唆して鎮圧。暗い金曜日事件 |
4月18日 | 皇太子裕仁がエジプトを訪問。カイロでスフィンクスを撮影 |
4月23日 | チェコ・ルーマニア同盟締結 |
4月24日 | 澳チロル地方の住民投票で9割の住民がドイツとの合併を支持するも、連合国がイタリアへの割譲を決定 |
4月24日 | 大隈重信が講演の中で、昔の偉人の髭はみんなつけ髭だったと暴露 |
4月26日 | 陸海軍軍法会議法公布 |
4月27日 | 英ロンドン開催中の連合国最高会議が、対独賠償要求額を1320億金マルクに修正 |
4月28日 | 世界チェス選手権で27年間王座にいたエマーヌエール・ラスカーがホセ・カパブランカに敗れる |
4月29日 | 皇太子裕仁が20歳の誕生日をお召し艦上で迎える |
4月29日 | 映画「虞美人草」封切り。ヒロインに女形ではなく女優を初めて採用。栗島すみ子のデビュー作で、サイン入りブロマイドが飛ぶように売れる程の人気を博する |
4月某日 | アルスが月刊写真雑誌「カメラ」を創刊 |
4月某日 | 童話作家・小川未明が「赤い蝋燭と人魚」を刊行。序文の中で童話作家は詩人でなければならないとし、その理由を「人生の塵にまみれて来た境遇から飛躍して、再びもとの純一な、輝かしい自然の世界に入り得ることは、独り詩人の特権だからである」と語る |
5月1日 | パレスティナでアラブ人による反ユダヤ暴動発生 |
5月2日 | 岡本一平が東京朝日新聞に「人の一生」を連載開始。日本初の物語漫画 |
5月2日 | ポーランド南西部シュロンクスで、上シュロンクス地方のドイツ帰属に反発し、義勇軍が蜂起 |
5月4日 | 英ロンドンの新聞が、日本の養殖真珠を模造品であると報道 |
5月4日 | 仏パリでナポレオン1世100年忌祭開催 |
5月5日 | ココ・シャネルが香水「N°5」を発売。大ヒットを記録する |
5月5日 | 孫文が非常大統領に就任。第二次広東政府樹立 |
5月5日 | 連合国最高会議が、ドイツに対する賠償金1320億金マルクの支払い要求の最後通牒を発する |
5月6日 | 警視庁が路上や公園のボール遊びを禁止 |
5月6日 | 独露通商条約調印 |
5月7日 | 皇太子裕仁一行が英ポーツマス港に到着 |
5月9日 | 皇太子裕仁一行が英ロンドンに到着。バッキンガム宮殿で公式晩餐会に臨む |
5月10日 | 皇太子裕仁が英国王ジョージ5世と1時間にわたって会談。英国憲法の講義を受け、立憲君主制を学ぶ |
5月10日 | 独コンスタンティン・フェーレンバッハ内閣が賠償を実行不能として総辞職 |
5月11日 | 独ヨーゼフ・ヴィルト内閣成立。ドイツが賠償金支払いを受諾 |
5月12日 | フローレンス・ナイチンゲール生誕百年を記念し、病院の日を制定 |
5月15日 | 伊総選挙でイタリア戦闘ファッシが穏健右派の自由党と連立。国民ブロックとして議席を獲得 |
5月18日 | 山県・松方の辞表が天皇の優諚によって却下される |
5月19日 | 米大統領が移民制限法に署名 |
5月20日 | 独中和平条約調印 |
5月26日 | 灘購買組合創設。賀川豊彦の助言を受け、第二の生協が誕生。小売商の反発を呼び、組合に対する嫌がらせが多発 |
5月27日 | 尼港事件で全滅した日本兵の神霊が靖国神社に合祀される |
5月27日 | 村上信夫。帝国ホテル料理長。「きょうの料理」講師を長年務めた。ビュッフェ形式を日本に伝えた人物として知られる |
5月28日 | 日本社会主義同盟に解散命令 |
5月29日 | 澳ザルツブルクで国民投票が行われ、99%がドイツ帰属を希望。以降、国民投票取りやめ |
5月29日 | ロシアの盲目の詩人ヴァスィリー・エロシェンコが国外退去処分。新宿中村屋が保護。エロシェンコは中村屋にボルシチを伝授し、後の人気メニューに |
5月30日 | 逓信省が浜地常康に私設の無線電話設置を許可。アマチュア無線免許第一号。浜地は幼少期から天才発明家で知られており、数多くの免許を持つ |
5月30日 | 第五回極東選手権が上海で開催 |
5月某日 | 資生堂の福原信三が月刊写真雑誌「写真芸術」を創刊 |
6月1日 | 米オクラホマ州タルサで人種暴動発生 |
6月3日 | 米チャールズ・ヒューズ国務長官が、日本のシベリア占領に基づく要求や権限の一切を認めないとの覚書を手交 |
6月4日 | 児童文学家・厳谷小波の功績を称え、帝劇で御伽劇開催 |
6月5日 | 野口雨情が童謡集「十五夜お月さん」刊行 |
6月6日 | 原首相が高橋蔵相、野田逓相に対し、摂政設置後の総辞職と、留任の場合は内閣改造を示唆 |
6月7日 | ルーマニアとユーゴスラビアが同盟締結 |
6月8日 | 宮内省が皇室のあり方について、国民との間を親密にすべきとの異例の訓示 |
6月8日 | 靖国神社の大鳥居が竣工 |
6月8日 | 京大法学部在学中の学生が、東京引越しのために東京帝大法学部を受験し、合格。京大が放校処分とし、東大も入学を取り消し |
6月8日 | スハルト生誕。インドネシア大統領。反政府勢力を弾圧する他方で、インドネシアの工業化を推し進め、30年に渡る開発独裁を敷く。アジア通貨危機で求心力を失い、失脚 |
6月9日 | 田中義一陸相が尼港事件の引責で辞任。後任陸相に山梨半造陸軍大将就任 |
6月10日 | エディンバラ公フィリップ生誕。英王族。エリザベス二世女王の王配として、女王の治世を60年以上にわたり支える。失言が多いことでも有名 |
6月13日 | 名古屋鉄道開業 |
6月18日 | 東京市に全国初の市営託児所開設 |
6月20日 | 産婦人科医の娘、浜田栄子が従兄との結婚を許されずに自殺。恋仲を裂かれた浜田栄子の歌が演歌師の間で流行 |
6月21日 | 英帝国会議で英連邦結成に合意。英と各自治領、インドが参加 |
6月22日 | エール大が野口英世博士に理学博士を授与 |
6月22日 | 北アイルランド議会が発足する |
6月25日 | 皇太子裕仁がヴェルダン戦跡を視察 |
6月25日 | 独科学者フリードリヒ・ベルギウスが石炭液化に成功 |
6月26日 | 皇太子裕仁が仏大統領夫妻とパリ・ロンシャン競馬場でパリ大賞典を観戦。仏ダービーを制したクサールが人気を集めるも惨敗 |
6月28日 | 大審院が村八分による自由・名誉侵害に対する損害賠償要求を認める判決を下す |
6月29日 | 皇太子裕仁がソンム戦跡を視察 |
6月日 | ウィリアム・タフト元大統領が米最高裁判長官に就任 |
皇太子の帰国を喜ぶ閣僚たち
ワシントン会議
7月1日 | 度量衛法改正公布。長さを測る単位がメートルに統一される。通称メートル法。施行は1924年 |
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7月1日 | 倉敷紡績の大原孫三郎社長が倉敷労働科学研究所を設立 |
7月1日 | 上海で中国共産党結成大会開催。書記長に陳独秀就任。毛沢東も参加 |
7月2日 | ボクシング世界ヘビー級タイトルで、チャンピョンのデンプシーが挑戦者カルバンティエにKO勝ち |
7月6日 | ソヴィエト赤軍とモンゴル人民革命軍がウランバートルを占領 |
7月9日 | 米ヒューズ国務長官が幣原駐米大使に対し、海軍軍縮会議への参加を打診 |
7月10日 | 外モンゴルが臨時人民政府を樹立して独立を宣言 |
7月11日 | 米ハーディング大統領が日英仏伊に対し、海軍軍縮問題と太平洋・極東問題を解決する為のワシントン会議開催を提起 |
7月11日 | 英・アイルランド間で休戦協定成立 |
7月13日 | 日本アルプスの高山植物採取が禁止となる |
7月14日 | 神戸川崎造船、三菱造船で大規模な労働争議発生。軍隊が出動し、デモを禁止 |
7月14日 | 米ボストンの裁判所がニコラ・サッコとバルトロメオ・パンゼッティに死刑判決。証拠が乏しいにも関わらず、二人がアナーキストのイタリア系移民である事から、死刑が下されたのではないかと抗議が広まる |
7月14日 | アイルランド問題を巡り、南アイルランド代表が英ロイド・ジョージ首相に対し、自治領化の申し出を拒否 |
7月15日 | 北アルプス・燕岳に燕山荘完成。有明村の赤沼千尋が建築。白塗りのヒュッテで、コーヒーやカレーライスを提供し、人気を集める |
7月17日 | 英論理学者バートランド・ラッセル来日。大杉栄や与謝野晶子と会談。海外の来賓に報道が過熱し、就寝姿まで狙われた |
7月19日 | 米カルフォルニア州で日本人農業従事者150名が追放される |
7月21日 | 米バージニア州沖で、第一次世界大戦で獲得した独戦艦に対する爆撃演習が行われる |
7月21日 | モロッコ・リーフ山地の反乱鎮圧に向かったスペイン軍が大敗 |
7月22日 | 海軍霞ヶ関飛行場開場 |
7月23日 | 石橋湛山が東洋経済新報社説に「一切を棄つるの覚悟」発表。植民地の一切を放棄し、自由貿易を拡大すべきという小日本主義を主張 |
7月27日 | カナダのフレデリック・バンティング博士がインシュリン抽出に成功。糖尿病治療に光明 |
7月28日 | 日本麦酒鉱泉・帝国鉱泉・日本製壜が合併し、日本麦酒鉱泉株式会社を設立 |
7月28日 | 英国が国民健康保険法を公布 |
7月29日 | アドルフ・ヒトラーがナチス党党首に就任 |
7月31日 | 呉海軍工廠が女子工員1900名を解雇 |
7月某日 | 日本アルプスの高山植物採集が禁止になる |
7月某日 | 東京・神田に中田寅次郎が兎肉専門料理店を開業 |
7月某日 | 福島県原町に磐城無線電信局完成。商用電報の需要が高まり、船橋無線電信局に干渉しない場所として、原町が選ばれた。高さ200mの無線塔が町のシンボルに |
8月2日 | ウクライナで大飢饉発生。前年から旱魃が続き、3000万人が飢餓に陥り、300万人が餓死。レーニンが諸外国に援助を要請 |
8月2日 | 東北帝大の石原純教授と女流歌人・原阿佐緒の不倫が発覚。石原教授が辞表を提出し、休職が決定 |
8月2日 | ブラックソックス事件に対し、陪審員が全員無罪判決。有罪を立証する証拠が出なかった。球団オーナーが最低俸給しか出そうとしなかったことが八百長の理由である事から、同情が集まる |
8月3日 | 米大リーグコミッショナーのケネソー・ランディスが、陪審評決とは関わりなく八百長に関与した8選手全員を永久追放すると宣言 |
8月3日 | 伊社会党がファシスト党と休戦 |
8月5日 | 根室本線、滝川ー根室間開通 |
8月5日 | 英政府が投獄中のアイルランド下院議員全員を釈放 |
8月9日 | 理化学研究所の鈴木梅太郎博士が合成酒の特許を取得。「利久」「祖国」などの銘柄で販売される |
8月11日 | 前田正名没。農商務官僚として絶大な影響力を発揮し、布衣の農相とあだ名された。高橋是清の農政観にも大きな影響を与える |
8月13日 | 北里研究所の草間滋博士が発見した発疹チフスの予防注射を、弟子の高橋五百也医師が自分の子供で人体実験。何の異常もなく、感染試験にも成功 |
8月13日 | 外務省に情報部が設置される |
8月14日 | 第七回全国中等学校優勝野球大会開催(-8/18)満州、朝鮮のチームが初参加 |
8月15日 | 大阪城の一般公開開始 |
8月20日 | 共産主義者・近藤栄蔵が暁民共産党を結成 |
8月20日 | 山崎今朝弥らが弁護士グループ・自由法曹団を結成。労働争議弾圧の調査の中で誕生。冤罪や弾圧などの人権侵害に対する裁判の弁護を担う |
8月23日 | 政府がワシントン会議への参加を表明 |
8月23日 | ファイサル1世が英委任統治領メソポタミア(イラク)の国王に就任。スンニ派・シーア派の領域だけでなく、クルディスタンに国境を引いた事から、深刻な紛争を呼ぶことになる |
8月24日 | 原首相が加藤友三郎海相に、ワシントン会議の全権就任を依頼。海相留守中については、原首相が海相事務管理を兼任する事で合意 |
8月24日 | 米国がオーストリアと単独講和 |
8月25日 | 米国がドイツと単独講和 |
8月某日 | 上野駅構内の踏切で車がエンコし、列車が衝突脱線。運転手が不転不始末により自動車運転免許を取り消し。初の免許没収 |
9月2日 | 米国テニスのデニス・カップに熊谷一弥・清水善造ペアが初出場。シングルス4試合、ダブルス1試合の構成の所を二人で乗り切り、決勝に進出。米国に敗れるも、2位の善戦 |
9月3日 | 皇太子裕仁が帰国。原首相、加藤憲政会総裁、東郷元帥らが出迎える |
9月4日 | 名古屋の一柳葬儀店が霊柩車の広告を出す |
9月8日 | 高輪御所で皇太子裕仁が新聞界の代表団と会見。新聞の役割について、世界文明の発達に重大な責務を有していると評価 |
9月10日 | 大日本蹴球協会発足。初代会長には日本体育協会の理事、今村次吉が就任 |
9月10日 | 登山家の槙有垣が、スイス・アイガー峰で最も困難な東峰ルートを初登頂 |
9月10日 | アドルフ・ヒトラーが突撃隊を組織。党集会の警備や、他勢力との街頭戦闘を担う武闘組織 |
9月11日 | 独ベルリンでキャバレー「ウィルデ・ビューネ」開店。社会不安・経済混乱からシャンソンを売り物とするキャバレーが大流行 |
9月17日 | 尾崎行雄、吉野作造、石橋湛山らリベラリストが軍備縮小同志会を結成。論壇を賑わせる |
9月19日 | 独ベルリンに高速自動車道路「アブス」完成。世界初のハイウェー |
9月22日 | 東京飯田橋の江戸川で全長1mのオオサンショウウオが捕獲される |
9月22日 | 国際連盟にエストニア、ラトビア、リトアニアが加盟 |
9月25日 | 牧野宮相が皇太子裕仁に天皇の病状を報告 |
9月25日 | 日本女子大学に社会事業学部が創設され、児童保全科と女工保全科が設置される |
9月27日 | ワシントン会議全権に加藤友三郎、徳川家達、幣原喜重郎を任命 |
9月27日 | 陸軍の樋口正治中尉が海外飛行に挑戦。所沢を経った飛行機が10月に長春に到着 |
9月28日 | 安田財閥の安田善次郎が暗殺される |
9月29日 | 連盟総会で婦女・児童売買禁止案が可決。売春可能年齢が21歳に引き上げられる |
9月30日 | 理化学研究所三代目所長に大河内正敏就任。コンツェルン化の基礎を築く |
9月30日 | 並木路子生誕。歌手。終戦直後に大ヒットを記録した「リンゴの唄」を歌い、国民的歌手となる |
9月某日 | 早大と米ワシントン州大の親善試合で、上空の小型飛行機からボールが落下されてプレーボール。世にも珍しい空中始球式 |
中岡艮一の斬奸状
摂政宮裕仁
10月3日 | 友愛会が名称を日本労働総同盟に改める |
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10月3日 | 森永製菓が東京・銀座にキャンディストアを開店 |
10月4日 | 宮内省が天皇の病状について、幼少の頃、脳髄膜炎に罹り、それが原因で言語障害や注意・記憶障害が発生していると発表 |
10月4日 | 国際連盟がレーニンの援助要請を拒否。ソ連の飢餓は政治指導の失敗が原因と断定 |
10月5日 | 英ロンドンで国際ペンクラブ発足。文筆家が人種や宗教を超えて、平和と自由を求め、精神の価値を守るという趣旨 |
10月5日 | 米大リーグで初めて兄弟選手が対決。兄はヤンキースのボブ・ミューセル。弟はジャイアンツのエミール・ミューセル |
10月11日 | 近衛文麿が連盟協会理事として講演し、連盟の意義について熱弁を振るう |
10月12日 | 原首相が文官初の海軍大臣臨時事務管理に就任 |
10月14日 | 鉄道50年記念祝典開催。新橋ー横浜間に陸蒸気が走ってから50年経過した。東京駅前式場で皇太子が祝辞 |
10月14日 | 東京・神田の鉄道博物館が一般公開される |
10月15日 | 三井財閥の団琢磨を中心とする英米訪問実業団が、英米経済視察に出発 |
10月20日 | 京都府が綾部・亀岡の大本教神殿に取り壊し |
10月22日 | 柳原白蓮が新聞紙上に夫への絶縁状を公開 |
10月24日 | 戦艦「陸奥」竣工。長門の姉妹艦として永らく国民に愛される。八八艦隊の主力艦 |
10月27日 | 陸軍将校の永田鉄山、岡村寧次、小畑敏四郎が独バーデンバーデンで陸軍の刷新を話し合う |
10月30日 | 東京・歌舞伎座が漏電で焼失 |
10月30日 | ルドルフ・ヴァレンチノ主演の「シーク」封切り。アラビアの首長扮するヴァレンチノのエキゾチックな容姿に一目惚れする女性が殺到。クローズアップシーンで失神する女性も。ヴァレンチノの人気を不動のものとする |
10月31日 | 観兵式の写真撮影が初めて許可される |
10月某日 | パイン裁縫機械製作所(現蛇の目ミシン工業)設立 |
10月某日 | 秋田県羽越線沿線にクロマツ、アカシアの造林開始。日本初の飛砂防止林 |
10月某日 | 宝塚歌劇団に月組、花組誕生 |
11月1日 | 信濃自由大学開校。自由に講座を組み、誰でも受講できる学校。後に東北・上越にも運動が広がる |
11月2日 | 米ニューヨークにアメリカ産児制限連盟が設立される。マーガレット・サンガー夫人が提唱 |
11月3日 | チャールズ・ブロンソン生誕。俳優。「荒野の七人」「大脱走」「狼の挽歌」などに出演し、その男らしい風貌で人気を博する。日本でもマンダムのCMに出演し「う〜ん、マンダム」のセリフが大流行 |
11月4日 | 原首相が東京駅にて刺殺される。犯人の中岡艮一は政友会の疑獄や尼港事件、軍縮に憤り、朝日平吾に刺激されて暗殺を思い立ったと証言 |
11月4日 | 原内閣総辞職 |
11月4日 | 独でナチス突撃隊と共産主義者が大乱闘 |
11月5日 | 政友会幹部が西園寺公望に後任総裁になるよう依頼。西園寺は謝絶 |
11月9日 | 岩手県盛岡市で原敬の葬儀が執り行われる |
11月9日 | ロベルト・ムッソリーニがイタリア戦闘ファッシを政党化し、国家ファシスト党を結成。ドゥーチェ(統領)に就任 |
11月10日 | 元老西園寺公望が後継首班について平田東助を推挙。平田は辞退し、光景について政友会員が適任であると述べる |
11月11日 | 米ワシントン近郊アーリントンに国立墓地、無名戦士の墓が完成 |
11月12日 | ワシントン会議開催。会議劈頭、米チャールズ・ヒューズ全権が大規模な国際的海軍軍縮と、日本の主力艦比率対米6割を提唱。議場が万雷の拍手に包まれる |
11月13日 | 高橋是清に組閣の大命降下 |
11月13日 | 高橋内閣成立。閣僚全員留任の居抜き内閣 総理大臣:高橋是清 外務大臣:内田康哉 内務大臣:床次竹二郎 大蔵大臣:高橋是清 陸軍大臣:山梨半造 海軍大臣:加藤友三郎 司法大臣:大木遠吉 文部大臣:中橋徳五郎 農商務大臣:山本達雄 逓信大臣:野田宇太郎 鉄道大臣:元田肇 内閣書記官長:三土忠造 法制局長官:横田千之助 – 馬場鍈一 |
11月14日 | 高橋是清が第4代政友会総裁に就任 |
11月15日 | 弁護士試験で試験の不備発覚。受験生たちが再試験を要求し、司法省に押しかける。法相は試験改善を約束し、再試験を実施 |
11月16日 | ワシントン会議で日本全権が主力艦対英米比率7割とする修正案を提出 |
11月17日 | 英皇太子がインドを訪問。マハトマ・ガンジーがこれに抗議し、商店ストを指導 |
11月19日 | 東京・駒場でバスケットボールとバレーボールの選手権が開催される |
11月21日 | 慶大の大森憲太教授が、脚気はビタミン不足が原因であると発表 |
11月21日 | 駐日仏大使に詩人ポール・クローデル就任。仏文学界の代表。日本文化をこよなく愛した |
11月22日 | 牧野宮相が摂政設置を上奏 |
11月23日 | 米国にて母性保護法が成立 |
11月24日 | 東京天文台官制公布。帝大に東京天文台が設置される |
11月25日 | 皇族会議と枢密院が開かれ、皇太子裕仁の摂政就任を可決。摂政が設置される |
11月27日 | 東京・日比谷で蹴球の第一回全国優勝競技会開催。東京蹴球団が優勝し、大銀杯を手にする |
11月27日 | 柳原白蓮と伊藤伝右衛門の離婚が成立 |
11月29日 | 高橋首相が専門学校の大学昇格問題について責任を取らないと明言。中橋文相との対立が明らかになり、中橋が辞意を固める |
11月29日 | 呉海軍工廠にて日本初の潜水艦「第44号」が完成 |
11月30日 | 独ミュンヘンで5万人もの国家主義者がデモ行進。ヒトラーが演説を振るう |
12月1日 | 時事新報が日英同盟が破棄され、それに代わる国際同盟が生まれるとスクープ |
12月4日 | 魯迅が「阿Q正伝」の連載を開始。阿Qという庶民を主人公とし、彼の精神的な弱点から中国人民の問題点を描く |
12月5日 | 米国から帰国した渡辺勇次郎が日本拳闘クラブを設立 |
12月6日 | 床次内相が中橋文相を激励し、中橋が辞意を撤回。閣内において高橋首相派と床次内相派が対立 |
12月6日 | 英・アイルランド条約調印 |
12月8日 | 摂政宮の前で尾上松之助一座が楠木正成父子の別れの場面「楠公訣別」を熱演 |
12月11日 | ワシントン会議にて加藤全権が戦艦陸奥保有と太平洋における防備現状維持を条件に、主力艦対英米六割を受諾 |
12月13日 | ワシントン会議にて太平洋地域の現状維持を基調とする日米英仏・四カ国条約締結。日英同盟が破棄される |
12月13日 | 東京の街頭に火災報知器が設置される |
12月14日 | ドイツが連合国に対し賠償金支払いの延期を要求 |
12月16日 | 銀座通り開設50周年祭開催 |
12月16日 | シャルル・サン・サーンス没。仏作曲家。「動物の謝肉祭」「死の舞踏」の作者。「史上もっとも偉大な二流作曲家」と称される |
12月20日 | 作家の萩原朔太郎が自転車を習おうと決心し、自転車日記をつけ始める。自転車を借りるも、初日は自転車もろとも地面に落ちて、さんざんな結果に終わる |
12月21日 | 東京市会が安田家から350万円の寄付により日比谷公会堂建設を決定 |
12月22日 | 将官や下士卒の結婚が自由化。従来は勅許が必要であった |
12月23日 | 作家の萩原朔太郎が自転車に乗れるようになるも、自転車もろとも崖に衝突し、打撲の傷を負う。萩原は二度と自転車に乗らないと決心。 |
12月23日 | 仙台第一高女で美術心養成のために浮世絵が展示される |
12月24日 | ガンジーがインド国民会議派最高指導者に就任。非暴力非服従を訴える |
12月25日 | 憲政会議員総会にて無条件普選案が全会一致で可決され、党公約となる |
12月26日 | 第45議会召集(-翌3月25日閉会) |
12月26日 | 東京小宮村の小作人が小作料三割減を要求し、小作地を返還。要求貫徹に成功 |
12月26日 | 講談による思想善導を目的とし、講談奨励会が設立される |
12月29日 | 東海道線特急電車内でトイレと給仕室の間に穴が開けられてることが判明。ボーイがトイレに入った女性を覗いていたもので、鉄道省も事実を認める |
12月31日 | 石川島造船所が国産乗用車第一号を製造。初日で電柱に衝突させる |
12月某日 | 早大野球部エース、河野安通志らが芝浦に日本運動協会を設立。初の野球専業チーム。入場料で球団を運営する画期的な仕組みを採用 |
12月某日 | 福岡女学院が制服にセーラー服を採用。讃美歌280番「みもとにいかりをおろして安らわん」という歌詞から、襟元に錨をあしらい、セーラー服と呼ばれた。全国に大流行する |
某月 | 北大路魯山人が自ら料理長を務める美食倶楽部を結成。北大路は朝鮮や満州で篆刻を学び、その落款は横山大観などの日本画家に重宝される、書家の大家 |
某月 | 伊藤喜商店が堀井輪転謄写機を発売。簡易的な印刷機で、オフィスの文章作成に役立った |
某月 | 動物学社の八田三郎が、北海道のハクチョウに絶滅の恐れがあると警告。後に禁猟となる |
某月 | 浜名湖で古代のゾウの化石が発見される。独地質学者ハインリッヒ・ナウマンの名前にちなんでナウマンゾウと名づけられる |
某月 | 東京・原宿表参道にケヤキが植樹される |
某月 | 京大農学部が演習林として、京都府美山町の芦生の森4200haの地上権を99年契約で借受ける |
某月 | 矢野庄太郎がライオンを使ったサーカスを開始。猛獣ショーの始まり |
某月 | 大阪・三越の漫画展覧会で服部亮英が客の似顔絵を披露。似顔絵がブームになる |
某月 | 新宿遊郭が新宿御苑側の内藤追分から牛屋ヶ原(現新宿二丁目)に移転 |
某月 | 女義太夫が再ブーム。義太夫のおっかけが結成される |
某月 | 米テキサスの世界ジュニアウェルター級でマティ・マツダが優勝。本名松田万次郎。レスラーを目指して単身渡米していた。日本人としては初の快挙 |
某月 | 米ジョンソン・アンド・ジョンソンが世界で初めてバンドエイドを発売 |
某月 | スイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハがロールシャッハ精神診察法を考案。左右対称のインクの染みを見て、患者が何に見えるかを問い、それによりどのような想像力を働かせ、どのような精神状態にあるかを判断 |
某月 | 米バークレーー警察がポリグラフ(嘘発見器)を捜査に導入 |