1920年10月1日 第一回国勢調査

注釈

政府が施策を立てる上で、行政・経済・衛生・教育などの社会状況の参考となる資料は必要不可欠である。

しかし、国民を管理してきた戸籍は不正確なもので、国民の経済状況や職業はおろか、総人口すら把握出来ていなかった。

人口規模とその属性の管理は、国家百年の大計に関わる。

政府はこのように考え、明治時代から国勢調査実施を模索し、1905年には国勢調査に関する法律が成立させた。

しかし、財政縮小によって実施は不可能となり、その後も幾度もなく国勢調査の必要が説かれては立ち消えるを繰り返していた。

それが1918年、議会にて国勢調査予算が成立し、1920年に実施されるに至った。

第一回国勢調査の項目は、氏名、世帯主との続柄、性別、出生年月日、配偶者の有無、国籍、出生地、職業、世帯人数などである。

まず、事前に全国民に調査用紙を配布した。

国勢調査を周知する為に「一人の嘘は万人の質を殺す」「申告はありのまま」などの宣伝ポスターが作成され、宣伝カーや飛行機によるビラ撒き、路面電車も広告を掲げて走った。

学校でも国勢調査の科目が設けられ、家庭では国勢調査の予習が行われた。

このような大掛かりな前準備をし、10月1日に調査用紙を一斉回収した。

なお、住所不定の浮浪者も調査対象とし、個別調査のために30万人もの調査人が全国に派遣された。

このような国家的調査の結果、内地に住む樺太人は31人、南洋人は3名など、極めて詳細な数値が明らかになった。


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