1913年9月12日 中里介山が「大菩薩峠」の連載を開始

注釈

「大菩薩峠は甲州裏街道第一の難所なり」

中里介山が執筆した時代小説「大菩薩峠」はこの一節から始まり、盲目のニヒルな剣士・机龍之介が大菩薩峠で何の罪もない老人を切り捨てる衝撃的な第一話であった。

その内容は大衆的でありつつも、社会批判や仏教的な無常感、士の思想が幾重にも織り交ぜられた重厚な小説であり、介山自身も時代小説と呼ばれることに不満を抱いていた。

小説を彩る挿絵は井川洗厓、金森観陽、伊東深水ら様々な日本画家が手がけた。

中でも石井鶴三の挿絵は、挿絵レベルを超えた描画力で人気を博した。

様々な画家に支えられて、大菩薩峠はのべ41巻の大長編となる。

だが、41年に中山が病没し、未完の大作となった。


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