1924年6月13日 築地小劇場第一回公演開幕
商業演劇に嫌気がさし、欧州で新演劇の構想を練ってちた土方与志は、ドイツ滞在中に大震災の一報を受けて急遽帰国した。
そして、手許に残っていた学費を全て建築費に当てて築地小劇場を創設した。
築地小劇場は民衆のための演劇を掲げ、従来の演劇を否定する意気込みで公演したのが、ラインハルト・ゲーリングの戯曲「海戦」であった。
今までのどの演劇のものと違い、絶叫や激しい動き、早い台詞回しが劇場所狭しに飛び交った。
また、舞台奥のホリゾントに照明を当てて現れる青い海や白い雲は、あまりにも斬新であった。
それまで日本人は、背景といえば幕に描かれた絵しか知らなかったのである。
観客は新鮮な舞台に圧倒された。
築地小劇場は、日本には無かった演劇における演出の概念を確立させた。
役者、劇作家、舞台装置、裏方、現代演劇の全てが築地小劇場から生まれ、舞台美術や照明の技術の向上に寄与した。
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