1915年11月某日 芥川龍之介が「羅生門」を発表

注釈

1910年代、文壇は作家の私生活の事実を告白する私小説が主流であった。

これに対し芥川は私小説を嫌い、作品から作者を完全に切り離した西洋小説流のフィクション確立を志した。

芥川はフィクションを描くにあたり、作品のテーマを芸術的に、力強く表現する為には異常な事件を必要とすると考えた。

それを今日の実生活に起こっていることに求めると違和感がある。

そこで題材を今昔物語から求めることにした。

こうして優れた視点と、軽快で驚きに満ちた展開に、あっと驚くどんでん返しからなる、短編小説「羅生門」が完成した。


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