1914年3月20日 東京・上野公園において東京大正博覧会開催

注釈

東京府は大正天皇即位を祝し、大博覧会を企画した。

開催地に選ばれたのは、交通の便の良さ、森や池などの自然豊かな地勢、娯楽地としても知られる上野公園であった。

博覧会には全国各地から名品・銘菓が集められた。

この中で最も人気を博したのは森永製菓のミルクキャラメルで、博覧会後にミルクキャラメルは飛ぶように売れ始めた。

また、国産初の小型乗用車「DAT」や日本初の消防ポンプ自動車、エジソンの活動写真といった最新技術が紹介され、後に横浜市と名古屋市が消防ポンプ車を購入することになる。

東京瓦斯展示館では、家庭用のガス風呂やガス暖房、ガスレンジが展示され、主婦たちの羨望を集めた。

このような殖産産業の展示の一方で、見世物も東京対象博覧会を彩った。

第一会場の中心には美人島と名付けられたパビリオンが人目を引いた。

これは一般公募した美女を光と鏡を用いて、火焔の中に美女がいるように見せたり、体を蛇のようにくねらせたりする性的で低俗な見世物であった。

更に、会場には女看守と称されたコンパニオンガールが場内の説明や案内にあたった。

女看守のファンたちが彼女たちの住所や年齢を記したガイドブックを密かに作成し、人から人の手に渡ったという。

そんな中で、会場の中で最も人気を博したのは、山の上に設置された第一会場の上野公園と第二会場の不忍池を結ぶ本邦初のエスカレーターと、不忍池に渡したロープウェーであった。

乗り場前には連日のように大行列が出来た。

この他にも第三会場の青山練兵場には戦艦三笠の模造艦や、インドのミイラ、不忍池のタングステン電球のイルミネーションが会場を彩った。

こうした客寄せ効果もあって、4ヶ月の会期を通して750万人近い入場者を集め、空前の大博覧会となった。

なお、観覧者が殺到した為に警備に2000名もの警官が動員され、至る所でサーベルを鳴らしていた。

人々はまるで日比谷で行われていた内閣弾劾演説会場みたいだと笑っていたという。


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