1916年 (大正5年)
内閣 | 第二次大隈内閣 – 寺内内閣 |
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軍部 | 陸軍大臣:岡市之助 – 大島健一 参謀総長:上原勇作 海軍大臣:加藤友三郎 軍令部長:島村速雄 |
宮中 | 内大臣:大山巌 宮内大臣:波多野敬直 侍従長:鷹司煕通 枢密院議長:山県有朋 |
貨幣価値 | 1円=893円 |
国家予算 | 歳入 813,309 / 歳出 590,795 / 軍事費 242,072(予算比率40.4%)※ 単位は1000円 |
1月1日 | 中央公論1月号において吉野作造博士が「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」を発表。デモクラシーを民本主義と訳し、民衆の幸福を重視した議会中心主義を主張 |
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1月1日 | 中央公論社が雑誌「婦人公論」を創刊。「現代婦人の行くべき道」として自由主義と女性の権利拡張を唱道 |
1月1日 | 憲法学者の佐々木惣一が大阪朝日新聞に「立憲非立憲」を掲載。違憲ではないが非立憲的である政治を定義し、政治家に忠告 |
1月1日 | 袁世凱が皇帝に即位。中国が帝政に移行 |
1月1日 | 米ロサンゼルス近郊で、東西大学対抗アメリカン・フットボールの試合が開催される。ローズ・ボウルの始まり |
1月1日 | 独社会民衆党を除名されたカール・リープクネヒト、ローザ・ルクセンブルクを中心にスパルタクス団結成。反戦の下、帝国主義打倒を掲げる |
1月4日 | 東京株式取引所発会。前年の7割高の値をつけ、投機が投機を呼ぶバブル経済が本格化 |
1月5日 | 熊谷一弥がフィリピン・マニラの東洋庭球選手権大会シングルスで優勝。全米一位の強豪が参加する中での快挙。熊谷は慶応在学中にテニスボールを軟式から国際規格の硬式に切り替えて練習し、世界レベルの力を身につけていた |
1月6日 | 英国議会が義務徴兵法案を可決。18歳から41歳までの独身男性及び、子供のいない離婚男性が対象。ジョン・サイモン内相が抗議して辞任 |
1月10日 | 中央気象台が24時間観測を開始 |
1月12日 | ロシア皇帝の名代でゲオルギー・ミハイロヴィチ大公が来日。日本に戦費と軍需品援助を求める |
1月12日 | 東京・牛込でジャーナリストの福田和五郎が大隈首相に爆弾を投じる。袁世凱排斥を要求しての凶行。爆弾は不発 |
1月14日 | 独ベルリンートルコ・イスタンブール間でバルカン特急の運行を開始 |
1月16日 | 千葉県・船橋無線局がハワイとの通信に成功。日本初の太平洋横断通信 |
1月17日 | 米国においてプロゴルファー協会が設立される |
1月19日 | 日銀が原料不足と買い占めによる物価高騰を発表 |
1月21日 | 貴族院がロシアへの兵器売却代金を一般会計に繰り入れなかったのは会計法違反であると政府を追及 |
1月22日 | 所沢飛行場を飛び立った陸軍飛行機が未明に大坂練兵所に到着。長距離飛行に成功 |
1月23日 | モンテネグロがドイツ・オーストリアに降伏 |
1月26日 | 横須賀海軍工廠の第五号ドック完成。3万トン以上の戦艦の入渠が可能になる |
1月27日 | 住友家が東北帝大に2万円を寄付。本多光太郎の鉄鋼研究を支援 |
1月27日 | 中国・貴州の劉顕世が反袁世凱を掲げて独立を宣言 |
1月30日 | 仏パリが独ツェッペリン飛行船の空襲を受ける。被害甚大 |
1月某日 | 宮嶋資夫が「坑夫」を発表。プロレタリア文学の先駆け。序文を大杉栄が記し、発売禁止処分を受ける |
1月某日 | 阪神・鳴尾において福助足袋会社が大型の宣伝用アドバルーンを揚げる。初のアドバルーン宣伝 |
1月某日 | 田中宏帝大教授が考案した豚肉料理が天皇の食前に上り、豚肉の価値が見直される。豚肉は消化に悪いと一段低く見られていたが、田中は豚肉を「宝の山」と評し、自ら調理法を考案 |
2月1日 | 貴族院が前年政府が弁明した国債償還基金減額について予算案返上の姿勢を固める。大隈首相が貴族院の調停を元老山県有朋に依頼 |
2月3日 | 衆議院が大浦事件と内閣居座りに関する弾劾上奏案を上程。即日否決 |
2月4日 | 大隈首相が議会終了後の総辞職を山県に約束。山県が貴族院調停を開始 |
2月4日 | 長崎水産試験所が筑紫不知火を観測。海中の光は夜光虫によるものと断定 |
2月5日 | 二代目西ノ海が横綱免許を取得。36歳にして昇格という遅咲きの横綱 |
2月8日 | 山県の斡旋により、貴族院予算委員会が付帯決議付きで予算案を可決 |
2月8日 | スイス・チューリッヒにおいて、既成芸術や現代文明を強烈に否定する革新的芸術運動ダダイスム発生 |
2月9日 | 英国が日本に対し、インド・太平洋方面への艦隊派遣を要請。日本は見返りとして英国植民地における対日態度改善を要求 |
2月11日 | 独皇帝ウィルヘルム2世が敵性武装商船を戦艦とみなして、無警告撃沈せよと海軍に命令 |
2月12日 | 茨城中学のプールに茨城川の水が引き込まれる。日本初の校内プール |
2月12日 | 海軍航空隊設置費用が可決される。飛行隊三隊創設 |
2月14日 | 馬産関係者5000人が貴衆両院に競馬法制定請願の署名を提出 |
2月18日 | 独領カメルーンが連合国に降伏 |
2月19日 | エルンスト・マッハ没。オーストリアの物理学者。航空機の権威。単位マッハの語源 |
2月21日 | ヴェルダンにおいてドイツが大攻勢に出る(-7月11日)独軍が砲弾で大地を耕したと言われるほどの火力を集中。仏軍は予備兵力を投入してまでも死守の構え |
2月22日 | 米英がハウス・グレー覚書を作成。米国の休戦会議構想を連合国が受諾し、これをドイツが拒否した場合に、米国が対独参戦すると約束 |
2月25日 | ヴェルダン・ドゥーモン堡塁が陥落。フランスの抗戦のシンボルとして有名になる |
2月28日 | 衆議院において勝ち馬投票を認める競馬法が可決される。後に貴族院において審議未了で廃案となる |
2月28日 | 今村紫紅没。日本画家。色彩豊かで独創的な作品を多数残す。近江八景が文展に入賞 |
2月某日 | 「青鞜」が無期休刊となる |
2月某日 | 田中宏帝大教授が「田中式豚肉料理法」を刊行。豚肉料理が普及する |
3月1日 | 逓信省が電信郵便の取り扱いを開始 |
3月2日 | 東京・下谷で生傷だらけ女性の遺体が発見される。内縁の夫を問いただしたところ、二人はサド・マゾの関係にあり、傷は女性の懇願によるものだと判明 |
3月3日 | 小嶋千鶴子生誕。実業家。スーパーマーケット・ジャスコ(現イオン)を創設し、女性の働きやすいパートタイム制度を導入 |
3月4日 | 英仏が秘密協定を結び、トーゴランドとカメルーンの勢力範囲を画定 |
3月6日 | 英国がカメルーン西部を併合 |
3月7日 | 政府が中国南軍に対する民間有志の援助を黙認することを決定。事実上の排袁運動援助方針を採用 |
3月8日 | 煙害問題解決のための金属鉱業研究所が設立される。三井財閥や久原鉱業が共同出資 |
3月9日 | ポルトガルがリスボン沖のドイツ商船を拿捕。ドイツに宣戦布告し、独領モザンビーク・アンゴラに侵入開始 |
3月11日 | らい予防に関する件を改正。ハンセン病療養所長に患者の懲戒権を与え、患者を収容する監房が設置される |
3月14日 | 大阪朝日新聞が飛行機上の撮影に成功 |
3月15日 | オーストリアがポルトガルに宣戦布告 |
3月18日 | 米曲芸飛行家アート・スミス来日。暴風の中で宙返りする冒険飛行を披露し、その人柄も相まって人気を博する。裕仁親王も青山御所でスミスの曲芸を楽しみ、金一封を下賜 |
3月19日 | ロシアがイラン・イスファハーンを占領 |
3月20日 | アルベルト・アインシュタイン博士が一般相対性理論を定式化 |
3月22日 | 袁世凱が帝政を取り消す |
3月24日 | 仏連絡船サセックス号がドイツの水雷で撃沈される。犠牲者の中に米国人2名が含まれる |
3月26日 | 大隈首相が山県に対し、加藤高明を後継首相に推薦。山県は挙国一致の必要を説いて、これに反対 |
3月27日 | 大阪府が遊漁税を決定。平日の釣りを課税対象とする |
3月27日 | 内務省がアスピリンなどの薬品が国産可能になったと発表 |
3月30日 | 日本がインド・太平洋方面に軍艦8隻を派遣 |
3月30日 | 米麦品種改良奨励規則公布。試験場に奨励金公布 |
3月31日 | 警視庁が被疑者護送に馬車ではなく自動車を使用すると決定 |
3月某日 | 北海道新冠のアイヌ人集落が、新冠の御料牧場の都合により上貫気別に強制移住させられる |
3月某日 | 浅草帝国館が映画プログラムを発売。上映作品の解説や次週予告、ファンの投書を載せる。コレクターが現れるほど好評を得る |
3月某日 | 吉野作造の民本主義論に対し、上杉慎吉教授が「我が憲政の根本義」を発表し、反論 |
皇太子裕仁
三党首会談
4月1日 | エイプリルフールが流行 |
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4月1日 | 東北帝大に鉄鋼研究所が設置される。本多光太郎教授が鉄鋼の研究を開始 |
4月1日 | 横須賀海軍航空隊が設置される。日本初の空軍部隊にしてパイロット養成機関。初代司令官は山内四郎大佐 |
4月1日 | 帝大に伝染病研究所が付設される |
4月2日 | 中川清兵衛没。サッポロビールの主任技師。ビール醸造技術の先駆者 |
4月3日 | カメルーン東部が仏領赤道アフリカに編入される |
4月4日 | 政府の外交に憂慮する三浦梧楼が、政友会総裁の原敬に対して三党首会談の開催を説く |
4月4日 | 関東鳥獣保護規則が改正され、ウサギが保護対象外となる |
4月5日 | チャールズ・チャップリンがミューチュアル映画会社と契約。年67万5000ドルの破格の契約 |
4月6日 | 国民新聞が理想的別荘地の投票結果を公表。1位は白河、2位は保谷 |
4月11日 | 逓信省が三重県鳥羽ー神島ー答志島間で無線電話での電報業務を開始。世界初の無線電話の実用化 |
4月11日 | 江藤新平、桐野利秋、前原一誠、村田新八らに位階追贈。賊軍の志士たちの名誉が回復 |
4月12日 | 森鴎外が陸軍軍医総監を依願退職 |
4月13日 | 警視庁が売薬営業取締規則を公布。毛生え薬や強壮剤などの製造・販売を規制 |
4月16日 | 焼失した難波新地の代地として、大阪・天王寺の飛田が貸座敷の営業許可区域に指定される |
4月18日 | サセックス号撃沈に対し、米国がドイツに抗議。客船、商船に対する攻撃を中止しなければ国交を断絶すると警告 |
4月24日 | アイルランド義勇軍がアイルランド共和国独立を宣言。イースターに反英武装蜂起 |
4月26日 | 大阪・天王寺の飛田新地における遊郭再建に対し、婦人会やキリスト教団体が反対運動を繰り広げる |
4月28日 | 石原忍医師が徴兵検査用に色盲検査表を考案。石原式色覚異常検査表として学校保健でも採用される |
4月29日 | アイルランド独立運動が鎮圧される |
4月30日 | ドイツがサマータイムを導入。昼が長くなる夏の間、時計の針を1時間進める制度を導入。戦争により国内の労働力人口が減ったため、女性の労働時間を長くする目的 |
4月30日 | クロード・シャノン生誕。米数学者。データを定量化する情報理論を確立し、コンピューターの技術の基礎に大きな影響を与えた |
4月某日 | 吉野作造が上杉慎吉の反論に対し「予の憲政論の批評を読む」で再反論。中央公論誌上で激論を交わす |
4月某日 | ドイツで多産奨励法施行。出征中の兵士が戦地近くに妻を呼び寄せることが許可される |
5月1日 | ドイツ・ベルリンで休戦要求デモ発生。スパルタクス団のリープクネヒトが反戦演説を行い、各地で平和を求めるデモが発生 |
5月1日 | ヴィクトル・スタルヒン生誕。野球選手。ロシア生まれで、革命勃発後に家族とともに日本に亡命。プロ野球創成期に投手として活躍し、300勝を記録 |
5月4日 | 米国の抗議を受けたドイツが、国際法を遵守し、乗員の避難の機会を与えずに攻撃しないこと約束 |
5月5日 | 図書の分類目録が誕生 |
5月8日 | 警視庁が私娼全取締規則を改正。私娼全廃の方針を固める |
5月11日 | 大阪割烹学校が電気料理の実験を行う。七輪やフライパンを電熱器にかけ、70人前の料理を作る |
5月14日 | 高杉晋作没後50年祭が靖国神社で開催 |
5月16日 | 朝日新聞社が「野球年鑑」を創刊 |
5月16日 | 英仏露が大戦後のトルコ領分割について、メソポタミアとシリア南部は英、シリア北部は仏、アルメニアは露で分割するサイクス・ピコ協定を締結。アラブの勢力範囲を定める秘密協定 |
5月17日 | 豊田佐吉が自動織機の特許を取得 |
5月18日 | 艦船令制定施行。艦船を軍艦・駆逐艦・水雷艇・潜水艦に区分 |
5月18日 | ラファイエット航空隊を名乗る米志願兵が欧州戦線に参加。独軍機を次々と撃墜。独が中立違反と抗議するが、米国は黙認 |
5月24日 | 政友会の原敬、同志会の加藤高明、国民党の犬養毅が三浦梧楼邸に集まり、三党首会談を開催。政策協定を行う |
5月24日 | 日本火災が盗難保険の取り扱いを開始 |
5月25日 | 大相撲五月場所で横綱太刀山が小結栃木山に敗れ、連勝が56でストップする |
5月26日 | 夏目漱石が東京朝日新聞で「明暗」を連載開始。作者病没で未完に終わる |
5月29日 | インドの詩人ラビンドラナート・タゴール来日 |
5月30日 | 恩賜財団済生会病院が東京芝に開院。細民救済のために天皇の下賜金で発足した恩賜財団 |
5月31日 | ユトランド沖にて英独海軍が衝突。独海軍は英海軍の海上封鎖を突破できず、英海軍も独海軍の殲滅には至らず |
5月某日 | 青銅製の1銭、5厘硬貨が材料費高騰のために小型に変更 |
6月2日 | 文部省が教師向けの水泳講習会開催を決定 |
6月5日 | メッカ太守フサイン・イブン・アリーがトルコ軍を攻撃。アラブ反乱勃発 |
6月6日 | 三党首会談で外交国防の一致共同、対中外交の相互利益増進、国防費の限度設定について合意。なお、同志会内部で犬養との関係強化を敬遠され、以降の進展せず |
6月6日 | 英戦艦ハンプシャーが機雷に接触して沈没し、英ホレイショ・ハーバート・キッチナー陸相が死亡。志願兵募集のポスターの顔写真で有名 |
6月6日 | 連合国がギリシャの対独接近を防ぐためにギリシャを封鎖。軍の動員解除と内政改革を要求する |
6月6日 | 袁世凱没。軍閥を背景に中華民国大統領として強権を振るい、革命派を弾圧しつつ、中国の近代化に当たる |
6月7日 | 黎元洪が中華民国大統領に就任。国会再開を約束し、中国第三革命終了 |
6月8日 | ロシアのアレクセイ・ブルシーロフ将軍が東部戦線で大攻勢開始。ウクライナ・ルーツィクを攻略し、オーストリア軍が後退 |
6月8日 | フランシス・クリック生誕。英生物学者。DNAの二重螺旋構造を発見。古くから知られた遺伝現象を科学的に証明 |
6月10日 | フサイン・イブン・アリーがメッカを占領 |
6月11日 | 琵琶湖畔で捕獲された蛍1000匹が東宮御所に献上される |
6月11日 | ジーン・ウェブスター没。米児童文学家。あしながおじさんの作者 |
6月13日 | 埼玉県所沢にて国産戦闘機「会式七号」の試験飛行が始まる |
6月15日 | 東京・明治神宮造営に対し10万本の樹木が献上される |
6月15日 | 東京・神田の大時計が取り壊される |
6月15日 | 米ボーイング社が自家製飛行機で初飛行に成功 |
6月16日 | 内務省が多摩川堤防建設に対し、神奈川県に対し東京府側より1m低く築くように命令 |
6月17日 | 博多毎日新聞の差別記事に対し、被差別部落民が抗議に押しかける。騒擾罪が適用され、300人以上が検挙 |
6月18日 | リールの鷹と連合国を恐れさせた独空軍のエースパイロット、マックス・インメルマン中尉が戦死 |
6月21日 | 日本郵船の対馬丸が横浜を出港。パナマ運河経由ニューヨーク行き東回り航路第一船 |
6月22日 | 愛媛県・四阪島生工場の煙害被害に対し周辺農民が補償金の増額を要求。知事が介入し、補償金増額と燃鉱量制限で妥結 |
6月22日 | 警視庁が帝国ホテルに対し、皇居内堀への排泄物垂れ流しは目に余るとし、汲み取りを厳命 |
6月24日 | 寺内正毅が元帥府に列せられる |
6月24日 | 大隈首相が辞意を表明。後任に寺内正毅、加藤高明のいずれかが適当であると内奏 |
6月26日 | 米曲芸飛行家チャールス・ナイルズが宙返り中に墜落死 |
タゴール来日
戦場に現れた戦車
7月1日 | 逓信省本庁舎前において前島密像の除幕式が行われる |
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7月1日 | 米ユニバーサル社が日本支社を開設。映画会社としては初。米国製活劇の配給を開始 |
7月1日 | ガスメーターによる検定が開始される |
7月1日 | 北フランス・ソンムにて連合軍が攻勢に出る。ソンムの戦い(-11月18日) |
7月2日 | ハンス・ウルリッヒ・ルーデル生誕。独エースパイロット。第二次世界大戦中に大活躍し、スターリンをして「ソ連人民最大の敵」と呼ばしめる |
7月3日 | 第四次日露協約締結。事実上の日露軍事同盟 |
7月4日 | 鳥取県堺港から東京への鮮魚輸送試験を実施 |
7月5日 | 米バンビューレン姉妹がオートバイによる米大陸横断の旅に出る。2ヶ月かけ、女性として初成功。女性の可能性を広げる |
7月6日 | 大隈首相が寺内正毅朝鮮総督に対し、加藤高明との連立内閣を提議。寺内が連立に反対し、交渉打ち切り |
7月10日 | 簡易生命保険法公布 |
7月13日 | 帝大が電気による煤煙除去の実験を行う |
7月14日 | 日独戦争の論功行賞開始。軍人だけでなく官僚や政治家など12万人が対象。濫賞であると非難される |
7月15日 | 高峰譲吉博士がアドレナリンの特許を取得 |
7月17日 | 黒田チカが東北帝大の学士に就任。女性としては初 |
7月20日 | 独軍東部戦線最高司令官に、タンネンベルクの戦いを指揮したパウル・フォン・ヒンデンブルクが就任 |
7月22日 | 米サンフランシスコで開催された軍拡要求パレードで爆発事件発生。死者10人。首謀者とされた労働運動指導者トム・ムーニーが逮捕され、死刑判決を受ける。後に裁判での偽証が明らかになり、冤罪事件と判明 |
7月23日 | 大阪・箕輪村の婦人殺人事件で、一審で死刑判決を受けた男が二審で一転無罪となる。共犯者が心神喪失で、その証言に信憑性が無いと判断 |
7月25日 | 渋沢栄一が実業界引退を宣言 |
7月26日 | 大隈首相が辞意撤回を内奏。天皇が元老に諮らずに大隈留任を決定 |
7月26日 | 内縁関係の妻を遺族扶助料の受給権者とする件の審議で、内縁保護は醇風美俗に反するとし、対象外に決定される |
7月26日 | 警視庁が闘犬・闘鶏の取り締まりを開始 |
7月27日 | 横浜に入港した汽船乗組員がコレラに感染。全国に感染拡大。全国で死者7482人に上る。特に熊本県の被害が甚大で、死者4148名を記録 |
7月27日 | 鶴岡一人生誕。野球選手。監督として南海ホークスを20年以上率いて、通算1773勝を挙げる。当時、無名の高校生であった野村克也を抜擢 |
7月30日 | 米ニュージャージー州ジャージーシティ埠頭にて爆発事件。独スパイによる犯行が濃厚と報道 |
7月某日 | 神戸乗馬倶楽部設立。日本初の乗馬クラブ |
7月某日 | 国有林17万町歩が牧野として解放。馬産が活性化 |
7月某日 | 大阪アルカリ会社の亜硫酸ガスが周辺住民の呼吸器に害を与えているとし、大阪府が除外設備を設けるように命令 |
7月某日 | コカ・コーラの便が独特な細長い形になる |
8月1日 | 大隈留任を天皇が独断した事に対し、山県有朋が説教 |
8月1日 | 独軍がロンドンを大空襲。甚大な被害が出る |
8月1日 | 中国の国会が再開される |
8月4日 | デンマークがバージン諸島を2500万ドルで米国に売却 |
8月4日 | ルーマニアが対オーストリア参戦と引き換えにトランシルバニア保障を要求。英仏露と軍事協定を調印 |
8月6日 | 山葉寅楠没。日本楽器製造(現ヤマハ)創業者。浜松で米国製オルガンを修理したキッカケで、オルガン製作を開始。ピアノ国産化に成功 |
8月9日 | 日銀が一円札にアラビア数字を採用 |
8月12日 | 千葉県北条町で夜の虹を観測。雨上がりの夜空にかかった虹は、月明かりに照らされて鮮やかであった。日本では三例目 |
8月13日 | 中国・鄭家屯駐在の日本軍が奉天軍と衝突。日本側に死者11名 |
8月14日 | 藤村富美男生誕。野球選手。物干しざおと呼ばれる長尺のバットを振るい、大阪タイガース不動の四番バッターに君臨。初代ミスタータイガースとして知られる |
8月15日 | 閑院宮載仁親王がロシアを訪問。対露関係改善が目的 |
8月16日 | 第二回全国中等学校優勝野球大会開催(~8/20)優勝は慶応普通部(慶応商工との混成チーム)今大会では抽選による敗者復活戦を採用 |
8月16日 | 米・カナダ間で国際渡り鳥保護条約調印。北米の渡り鳥保護に乗り出す |
8月17日 | コレラ予防のために神奈川県が本牧海岸の出漁・遊泳を禁止 |
8月25日 | 米国議会が国立公園局設置法案を可決 |
8月27日 | ルーマニアがオーストリアに宣戦布告。60万の軍隊を擁するルーマニア参戦によって連合国が優位に立つ |
8月28日 | ドイツがルーマニアに宣戦布告 |
8月29日 | 米国がフィリピン自治拡大を図るジョーンズ法を公布 |
8月29日 | ドイツ参謀総長にヒンデンブルク、参謀次長にエーリヒ・ルーデンドルフ就任。総力戦態勢強化の為にあらゆる分野の統制を強め、ルーデンドルフ独裁と称される |
8月30日 | トルコがルーマニアに宣戦布告 |
9月1日 | 工場法施行。日本初の労働法 |
9月1日 | ブルガリアがルーマニアに宣戦布告 |
9月1日 | 米国においてオーエン・キーティング児童労働法成立。工場・鉱山労働の最低年限を制定 |
9月2日 | 林駐華公使が鄭家屯事件の解決条件として、中国に対し南満洲・東部内蒙古における日本警察官の駐在を要求 |
9月2日 | ドイツが米国に対し和平案を提示。米ウィルソン大統領はこれを拒絶 |
9月5日 | 米ニューヨーク・リバティ劇場で「イントレランス」封切り |
9月11日 | 河上肇が大阪朝日新聞に「貧乏物語」を連載開始。貧乏の原因や解決策を説く |
9月12日 | 神奈川県が工場取締規則を公布。有害ガスや悪臭、騒音、粉塵を飛散する工場に適用範囲を拡大 |
9月15日 | 日本赤十字救護班が帰国。その献身的な看護が仏政府から表彰される |
9月15日 | 英軍がソンム戦線にマークI型戦車を投入 |
9月16日 | 大日本麦酒が中国山東省青島の英ビール工場を買収 |
9月18日 | コレラ流行のために東京市が小学校の弁当を中止。授業時間を繰り上げる |
9月18日 | 中国・吉林省長春で日中両軍が衝突 |
9月22日 | コレラ予防のために宮内省が皇居半蔵門を閉鎖 |
9月23日 | 東京・三河島の家畜葬儀場で家畜追悼会開催。300名がペットを供養 |
9月24日 | 陸奥湾の海軍演習に航空隊が初参加 |
9月25日 | 同志会・公友倶楽部・中正会の3派合同が決定 |
9月26日 | 大隈首相が参内して辞意を内奏。後任に加藤高明を奏薦 |
9月26日 | 北陸線筒石駅の地盤に亀裂が入る。翌日にホームが崩落し、海にまで押し流される |
9月27日 | 大隈首相、大山巌内府に対し加藤奏薦の尽力を依頼するも、断られる |
9月28日 | 独陸軍が兵役年齢引き下げを要求。独首相が労働力不足を懸念して拒絶 |
9月30日 | 米大リーグ、ニューヨーク・ジャイアンツの連勝が26でストップ |
9月某日 | 北海道・夕張炭鉱が朝鮮人労働者を採用。朝鮮人労働の開始 |
9月某日 | 日立鉱山が煙害調査のために大気観測用気球を開発 |
「イントレランス」のバビロンの舞台
寺内内閣の閣僚たち
10月1日 | 原敬政友会総裁が、後継内閣と目される寺内内閣に対し、是々非々の方針を固める |
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10月1日 | 簡易生命保険施行。無診査、月掛けの保険を開始 |
10月1日 | 東京・赤坂にローヤル座開館。イタリアのオペラ指導者ローシー夫妻が運営。「天国と地獄」を上演し、オペラブームが到来する |
10月4日 | 大隈首相が辞表を提出。辞表の中で加藤高明を後継首班に推薦し、公表するという異例の行動を取る |
10月5日 | 第二次大隈内閣総辞職 |
10月5日 | 元老会議が開催され、寺内正毅朝鮮総督に組閣の大命降下 |
10月6日 | 加藤高明が寺内に対し、同志会脱党組の後藤新平・仲小路廉が閣僚に内定した事に関して敵対を通告。反政府の姿勢を露わに |
10月7日 | 米アメリカンフットボールの試合でジョージア工大がガンバーランド大を222対0で下す。史上最大の点差 |
10月9日 | 寺内内閣成立 総理大臣:寺内正毅 外務大臣:寺内正毅 – 本野一郎 – 後藤新平 内務大臣:後藤新平 – 水野錬太郎 大蔵大臣:寺内正毅 – 勝田主計 陸軍大臣:大島健一 海軍大臣:加藤友三郎 司法大臣:松室致 文部大臣:岡田良平 農商務大臣:仲小路廉 逓信大臣:田健治郎 内閣書記官長:児玉秀雄 法制局長官:有松英義 |
10月9日 | 今村大平治が東京菓子会社(現明治製菓)を設立 |
10月9日 | ヴェニゼロス前ギリシャ首相が国王の中立政策に抵抗して、クレタ島サロニカに臨時政府を樹立。連合国に参加を表明 |
10月10日 | 憲政会結党 |
10月12日 | 国民党が寺内内閣に対し是々非々の態度を取ると宣言 |
10月12日 | 第二回二科展開催。東郷青児が入賞 |
10月13日 | 文展開幕前に熊岡美彦の入選作「裸体」が落選作とすり替えられる |
10月15日 | 函館ハリストス正教会完成。ロシア・ビザンチン様式の建造物 |
10月16日 | 朝鮮総督に長谷川好道元帥が就任 |
10月17日 | 米国で「神々の娘」封切り。オーストラリアの女優アネット・ケラーマンが初のヌードシーンを演じる |
10月18日 | 名古屋市がペストに備えてネズミの購入を開始 |
10月18日 | シベリア鉄道が全線開通 |
10月21日 | 大阪婦人矯風会が大阪府の飛田遊郭指定に反対、府庁へ初の母親デモ |
10月21日 | オーストリアのカール・シュツルク首相が反戦を訴える社会主義者に暗殺される |
10月23日 | フサインの三男ファイサルと英陸軍将校トマス・エドワード・ロレンスが会見。ロレンスはファイサルを「栄光をもたらす指導者」と絶賛 |
10月24日 | 仏軍がヴェルダンにおいて大攻勢。ドゥーモン堡塁を奪還 |
10月26日 | 米ウィルソン大統領が中立の終了を演説 |
10月26日 | オーストラリアが海外派兵を巡って国民投票を実施。否決される |
10月26日 | フランソワ・ミッテラン生誕。フランス第五共和政第4代大統領。欧州連合とユーロ創設に貢献 |
10月27日 | 鳴尾競馬場内に競技場新設。第一回全日本東西対抗陸上競技大会を開催 |
10月29日 | フサイン・イブン・アリーがヒジャーズ王を宣言。英仏露がこれを承認 |
10月30日 | 京王電気軌道、新宿-府中間全線開通 |
10月30日 | 産児制限を提唱するマーガレット・サンガー女史が投獄される |
10月31日 | 呉海軍工廠で初の国産潜水艦、波7号竣工 |
10月31日 | チャールズ・ラッセル没。米宗教家。キリスト教系新宗教「エホバの証人」創設者 |
11月3日 | 裕仁親王の立太子礼が行われ、皇太子になる |
11月3日 | 資生堂化粧品部開店 |
11月6日 | 帝室制度審議会が設置される |
11月7日 | 米国大統領選挙 ウィルソン(民主党)277/ヒューズ(共和党)254(単位は獲得選挙人) |
11月7日 | 米国下院選挙においてジャネット・ランキンが当選。米国初の女性国会議員の誕生 |
11月7日 | 露ペトログラードで反戦を主張した水兵の裁判に抗議発生。13万人の労働者がスト |
11月9日 | 日蔭茶屋事件。大杉栄、刺される |
11月10日 | 大日本医師会設立。会長に北里柴三郎就任。府県の医師会を統合した、日本初の医師の全国組織 |
11月17日 | 東京ー京浜間で電気暖房を使用した2等車の運行を開始 |
11月18日 | 灯油の値上げが発表。ランプから電気灯への切り替えが相次ぐ |
11月21日 | フランツ・ヨーゼフ1世没。オーストリア=ハンガリー二重帝国皇帝。後継は甥のカール1世 |
11月22日 | 浅野セメント深川工場の降灰問題で、一年後の工場移転を決定 |
11月23日 | ギリシャ臨時政府がドイツ・ブルガリアに宣戦布告 |
11月27日 | 石川県衆議院議員選挙訴訟について、大審院が上告を棄却。原告側の勝訴が確定し、再選挙となる。大審院が大隈内閣の選挙干渉の事実を認める |
11月29日 | 英政府発行の国債1億円を日本銀行団が引き受け。日本が初めて債権国家に転じる |
11月29日 | 米国がドミニカを軍事占領 |
11月30日 | 貨物船永田丸が英仏海峡で独潜水艦によって撃沈される |
12月1日 | ギリシャ・アテネで国王派と臨時政府派の内戦が激化。連合軍が上陸して臨時政府派を援助 |
12月4日 | 東京・鈴ヶ森おはる殺し事件の裁判で、東京地裁が犯行を自白した石井藤吉を証拠不十分で無罪判決を下す。なお、他の強盗殺人に関しては無期懲役の判決。石井は有罪を主張して控訴 |
12月4日 | 日本興業、朝鮮銀行、台湾銀行が対中借款団を結成 |
12月4日 | 英アスキス挙国一致内閣総辞職。対独戦へのアスキス首相の弱腰をロイド・ジョージが非難し、閣内不一致が明らかになっていた |
12月5日 | 第38議会召集(-翌1月25日解散) |
12月6日 | 独軍がルーマニア・ブカレスト占領 |
12月7日 | 英ロイド・ジョージ挙国一致内閣発足 |
12月9日 | 夏目漱石没。明治の大文豪。「吾輩は猫である」「坊っちゃん」などの名作を残し、1000円札の肖像にもなる |
12月10日 | 報知新聞が社説において内閣交代劇を「元老の宮中闖入」と批判。新聞紙法違反で発禁処分を受け、主筆が禁固刑を受ける |
12月10日 | 大山巌没。元老。日露戦争においては陸の大山として勝利に貢献。「将に将たるの器」と称される |
12月12日 | ドイツが和平交渉に応じる意思があることを米国に伝える |
12月12日 | 米女性飛行家ガザリン・スティムソン来日。和服を着て飛行し、話題になる |
12月13日 | ドイツの講話提議により株式市場大暴落 |
12月16日 | 汽船多喜丸が独潜水艦に撃沈される |
12月17日 | 大山巌国葬 |
12月18日 | 石川県衆議院議員選挙の再選挙が実施される |
12月18日 | 米ウィルソン大統領が各国に和平条件の提出を求める |
12月18日 | 仏軍のフィリップ・ペタン元帥がヴェルダンの陣地を奪回 |
12月19日 | 英国がギリシャ・ヴェニゼロス政権を承認 |
12月21日 | 生活に窮した植物学者・牧野富太郎の植物標本を、帝大生の池長孟が3万円で購入。池長植物研究所が設立される |
12月25日 | 大阪商船が空前の増益で配当3割と決定。海運系会社の高配当と増資が相次ぐ |
12月26日 | ドイツが米大統領の提案に同意。各国代表者会議開催の用意ありと回答 |
12月26日 | インド国民会議派とイスラム教徒連盟が共同で年次大会を開催。反英・独立・統一を決議 |
12月30日 | ドイツの講和提議に対し、連合国が戦争継続を声明 |
12月30日 | ロシアの怪僧グリゴリー・ラスプーチンが暗殺される |
12月31日 | 長崎県・端島(炭鉱島)に鉄筋コンクリートの4階建高層住宅が竣工。次々と高層住宅が立ち並び、その様相から軍艦島と呼ばれる |
某月 | 京都電灯が家電製品を展示したショールームをオープン。「電気の店」と題された |
某月 | 平尾賛平商店(現レート化粧品)がレートポマードを発売。日本人の髪質に合わせた最新ポマード |
某月 | 奈良県が台湾からメダカに似た小魚タップミノー(カダヤシ)を導入。ボウフラが好物で、蚊の天敵として知られる。後に日本において広く分布し、在来の淡水魚が駆逐される |
某月 | 愛媛県の朝家万太郎が英国のマーマレード製造法を学ぶ。日本におけるマーマレード製造の開始 |
某月 | 広島県出身の高野虎市がチャップリンの運転手になる。後に秘書に採用される |
某月 | 原来復と小林栄が血液型と性格の関係に関する論文「血液の類属的構造について」を発表 |
某月 | 相撲番付を行司が書いて、相撲協会が発行するようになる。従来は三河屋治右衛門の世襲 |
某月 | 米国の心理学者、ルイス・ターマンが著書の中で初めてIQという単語を使用 |
某月 | 英ジェイガー社がブラジャーの発売を開始。仏語のブラ(腕)とシェール(釣り合う)の造語 |